【書評】『だれもわかってくれない』相手のありのままを見る難しさ

初めて会う人、会社の同僚、友人。

私たちは日常の中で様々な人たちと出会う。

質問!

-あなたは出会った人たちに対し、偏見や差別意識を持たずに接することは出来ていますか?

以前であれば私は自信満々に「出来ている」と答えただろう。

しかしこの本を読み終えた今同じ質問をされたならば「出来ている」とは答えられないように思う。

この『だれも分かってくれない』は、自分でも気付かないような無意識下で生まれる偏見や他人への評価の歪みに気付かせてくれる本だった。

 

 

 

無意識の偏見だらけ

冒頭の質問を投げた場合おそらく多くの人は、「自分は相手を正しく見ている。色眼鏡無しに見ることが出来ている。」と答えるだろう。

しかし人と言うのは、気付かない間に数多くのレンズを通して相手を見ているようだ。

私たちは相手の職業・趣味・口調から外見まで、様々な部分から無意識に相手のイメージ像を作り上げている。

Tシャツジーパンの人よりもスーツを着ている人のほうが恐らく賢く見えると思うが、それと同じだろう。

あえて「ジーパン履いてるから賢くは無いだろう」と考える人は居ないだろう。

その例えに限らず、見えている1部分から相手の全体像を無意識の内に想像してしまうのだ。

そして忘れてはいけないのは、自分が相手を偏見で見てしまうのと同じように、相手もまた自分を偏見で見ているのである。

相手を認識する2ステップ

社会人であろうと学生であろうと、「第一印象は大事」という言葉はよく耳にする。

これは間違いではないようだ。

普段関わる人たちのことを考えたとき、必ず「Aさんはこういう人」「Bさんはこういう癖がある」といったイメージが有るのではないだろうか?

第一印象か、出会ってしばらく経ってからの印象かは別として、人によって様々なイメージが有ると思う。

これもまた、自分が相手に勝手なイメージを持つのと同じように、相手もまた自分に対して何かしらのイメージを持っている。

ポジティブなイメージであれば良いが、ネガティブなイメージで尚且つ事実と異なるのであれば是非とも払拭したいところだろう。

しかし、人は相手を

  • 直感的に捉える第1ステップ
  • 努力して相手のことを理解する第2ステップ

という2段階で認識している。自信のイメージは相手の解釈次第でいくらでも変わってしまうのである。

まさに、『だれもわかってくれない』である。

認識を歪める様々なレンズ

これら以外にも、人は相手を正しく判断できなくなるレンズをたくさん持っているようだ。

その中でも個人的に興味深かったのは「エゴレンズ」である。

これは自己肯定感を守るためのレンズで、自分の優位性を確かめるためにはたらくもので、場合によっては人間関係に影響をおよぼしてしまう。

私も自分が仕事でミスをしたときに、他の自分の案件は上手く進行していることを確認して自尊心を保とうとしたりと思い当たる節はある。

この例えは自分の中だけで完結しているからまだ良い。

これがもし「誰かが自分に対して劣等感を抱いている」状態だとどうだろうか?

自尊心を保つためにこちらから距離をとり始めたら、人間関係に影響が出始める。

そこまで近くも無い関係ならば放っておいても良いだろうが、職場の仲間で有ったらそうもいかない。

楽では無いが、良好な人間関係を保つためには相手の自尊心を守る必要が有る。

何も知らなければ「嫌われたか?」と悩むかもしれないが、人間の中に存在するレンズについて知っていれば対策を打つことが出来るのだ。

要点まとめ

この『だれもわかってくれない』からは、どうすれば無駄な誤解が生まれるのを防ぐことが出来るかを学ぶことが出来る。

誰しも誤解や勝手な決めつけはされたくないだろう。

それらを防ぐためには、まずは偏見がどう生まれて何に影響するかを知る必要がある。

あなたが相手に対して勝手なイメージを持つように、相手も自分に対して勝手なイメージを持っているのである。

この本には、そんな「分かってくれない人」と「分かってあげない自分」の人間関係の悩みを解決するヒントが詰まっているように感じた。